マンションやビルの外壁は、タイルやモルタルが下地から浮いていても、表面からは分かりません。浮いた部分はやがて剥がれて落ち、通行人や駐車中の車に当たれば大きな事故になります。それを事前に見つけるのが外壁の打診調査です。
この記事では、打診調査が法律でどう位置づけられているか、費用はどのくらいか、そして足場を組まずに調べる方法を整理します。内容は2026年10月時点のものです。
- 一定の建物は、建築基準法第12条の定期調査で外壁の状態を報告する義務がある
- 竣工や外壁改修から10年を超えると、全面打診などによる調査が求められる
- 報告を怠ると100万円以下の罰金の対象になる
- ロープアクセスなら、足場なしで外壁に触れて全面を叩いて調べられる

目次
外壁の打診調査とは
打診棒(先に小さな球の付いた棒)で外壁を転がしたり叩いたりして、音の違いで内部の浮きを判定する調査です。下地に密着している部分は硬く澄んだ音がし、浮いている部分は軽く濁った音がします。
望遠鏡や望遠カメラでの点検は、ひび割れや欠けのような表面の傷みは拾えますが、手が届かないので叩けません。浮きの有無は、近づいて叩かないと確定できないのです。
打診調査が義務になる建物
建築基準法第12条の定期調査報告
多くの人が利用する建物(劇場、病院、ホテル、共同住宅、事務所など)のうち、用途と規模が一定以上のものは、建築基準法第12条にもとづき、建物の状態を定期的に調査して特定行政庁へ報告することが義務づけられています。対象になる建物と報告の周期は、建物の用途・規模と、広島市など各自治体の指定によって決まります。
10年を超えたら「全面打診等」
定期調査のうち外壁については、国土交通省の告示で、竣工後、外壁の改修後、または前回の全面打診後10年を超えた最初の調査で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面打診等で調べることが定められています。「等」には赤外線装置による調査も含まれ、2022年の改正ではドローンに積んだ赤外線カメラでの調査も方法として明記されました。
報告しないとどうなるか
報告をしない、または虚偽の報告をした場合は、100万円以下の罰金の対象になります。罰則以上に重いのは、調査をしないまま外壁が落ちて人に当たった場合の責任です。所有者や管理者が責任を問われることになります。
自分の建物が対象かどうか分からない場合は、自治体の建築指導の窓口か、調査を依頼する業者に確認してください。
打診調査の費用
ロープアクセスで行う打診調査の目安は、外壁1㎡あたり220〜330円(税込)です。ここに、調査結果をまとめた報告書や安全対策、諸経費が加わります。
| 外壁面積 | 単価部分の目安(税込) |
|---|---|
| 1,000㎡ | 22万〜33万円 |
| 2,000㎡ | 44万〜66万円 |
| 3,000㎡ | 66万〜99万円 |
面積が小さい建物では、ロープの設置から撤収までの手間が面積に関係なくかかるため、1日あたりの最低料金(11万円・税込)が下限になります。
調査の方法による違い
| 方法 | 向いているところ | 弱いところ |
|---|---|---|
| 足場を組んで打診 | 改修工事と同時に行うなら効率がよい | 調査だけのために組むと仮設費が大きい |
| 高所作業車で打診 | 低層で、車が建物に寄せられる場合 | 電線・電柱・前面道路の幅によっては入れない |
| 赤外線(地上・ドローン) | 広い面を短時間で見られる | 日当たりや天候、壁の向きで精度が変わる。疑わしい箇所は打診で確かめることになる |
| ロープアクセスで打診 | 仮設なしで全面に触れられる。見つけた浮きにその場で応急処置ができる | 屋上に支点が取れない建物には使えない。雨の日は順延 |
足場なしで、9階建てを1日で調査した例
外壁の劣化が進み、崩落のおそれがあった9階建てマンションでは、ロープアクセスで外壁を調査し、調査は1日で終わりました。電線と電柱があって高所作業車が入れない立地でした。
それまで他社が望遠鏡と望遠カメラで点検していましたが、叩けないため浮きの範囲が確定せず、補修の見積も概算にとどまっていました。近づいて叩いたことで、表から見えなかった浮きが複数見つかり、落下のおそれがある箇所には調査中に応急処置もしています。補修の範囲が確定したので、見積も確定した数量で出せました。

調査の流れ
- お問合せ
建物の所在地と階数、外観の写真をお送りください。定期報告の対象かどうか分からない段階でも構いません。 - 現地調査
屋上の支点、真下の通行、外壁の仕上げ(タイル・モルタル・吹付け)を確認します。 - 打診調査
屋上から降下し、外壁を叩いて浮きの位置と範囲を記録します。落下のおそれがある箇所は、その場で応急処置をします。 - 報告書
浮きの位置を図面と写真でまとめます。補修が必要な場合は、数量の入った見積をあわせてお出しします。
よくある質問
まとめ
一定の建物では、竣工や外壁改修から10年を超えると、外壁の全面打診などによる調査が求められます。調査だけのために足場を組むのは費用が見合わないことが多く、ロープアクセスなら仮設なしで外壁に触れ、確定した数量で補修の判断ができます。対象かどうか分からない段階からご相談ください。

